AIはどこまで進化したのか

― 人工知能の誕生から生成AI時代までの歴史 ―

AI(人工知能)は、ここ数年で突然現れた技術のように見える。
しかしその実態は、70年以上にわたる試行錯誤と挫折、そして思想の転換の積み重ねである。

本記事では、AIがどのような考え方で作られ、どこでつまずき、なぜ今の姿に至ったのかを、時代順に整理する。


1. 1950年代〜1960年代|AI誕生期

「知能はルールで再現できる」という仮説

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https://spectrum.ieee.org/media-library/close-up-of-a-black-and-white-photo-of-seven-smiling-men-sitting-on-a-lawn.jpg?id=33603729&quality=85&width=1000

AIの出発点は、数学者 アラン・チューリング の問いにある。

機械は考えることができるのか。

この問いに対し、彼は「考えているかどうか」を直接問うのではなく、
人間と区別できない応答ができるかを基準とするチューリングテストを提案した。

1956年には ダートマス会議 が開かれ、
「Artificial Intelligence(人工知能)」という言葉が正式に使われるようになる。

当時の基本思想は明快だった。

  • 思考とは論理の積み重ねである
  • 論理はルールとして記述できる
  • ならば、知能はプログラムで再現できる

この考えのもと、数学定理を証明するAIなどが作られ、
「人間の知能は近いうちに完全再現できる」という楽観論が広がった。


2. 1970年代〜1980年代|最初のAI冬の時代

現実世界の複雑さに敗北する

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理論上は可能に見えたAIだが、実社会で使おうとした瞬間に問題が露呈する。

  • 例外が無限に存在する
  • 暗黙知(常識)が記述できない
  • ルールが増えすぎて管理不能になる

医療や製造業でエキスパートシステムが導入されたものの、
少し条件が変わるだけで正しく動かなくなるケースが続出した。

結果として「AIは思ったほど賢くない」という評価が定着し、
研究費や投資が急減する。

これが最初のAI冬の時代である。


3. 1990年代|機械学習という転換点

「教える」のではなく「学ばせる」

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ここでAI研究は、根本的な方向転換を行う。

人間がルールを書くのをやめ、
データから機械自身に学ばせる。

これが機械学習である。

1997年、IBM が開発した
Deep Blue がチェス世界王者を破った。

ただしこの勝利は、

  • 完全情報ゲームであること
  • 圧倒的な計算能力を使えること

という条件付きだった。

汎用的な知能には、まだ距離があった。


4. 2000年代|データと計算力の時代

知能は「量」で進化し始める

https://itchronicles.com/wp-content/uploads/2023/03/Data-Visualization-1024x492.jpg
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2000年代に入り、AIを取り巻く環境が激変する。

  • インターネットによるデータ爆発
  • GPUによる並列計算の普及
  • ストレージコストの低下

これにより、「大量の正解データを使った学習」が現実的になる。

AIは賢くなったというより、
経験を大量に積める存在へと変化していった。


5. 2010年代|ディープラーニング革命

特徴を教えなくてよくなった

https://www.ibm.com/content/adobe-cms/us/en/think/topics/neural-networks/jcr%3Acontent/root/table_of_contents/body-article-8/image_456123789.coreimg.png/1763387287174/iclh-diagram-batch-01-03-deepneuralnetwork.png
https://www.researchgate.net/publication/356083410/figure/fig3/AS%3A1088525973893125%401636536224526/The-image-classification-results-on-ImageNet-from-2011-to-2021-As-we-can-see-the-recent.ppm
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2012年、画像認識コンテストImageNetで
ジェフリー・ヒントン らの手法が圧勝する。

従来との決定的な違いはここにある。

  • 人間が「重要な特徴」を指定しない
  • ニューラルネットワークが自動で発見する

この技術はディープラーニングと呼ばれ、
音声認識、画像認識、翻訳精度を一気に押し上げた。

2016年には AlphaGo が囲碁世界王者に勝利し、
「直感やセンスもAIが扱える」という認識が広がる。


6. 2020年代|生成AIの登場

理解していないのに、使える知能

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https://assets.hongkiat.com/uploads/what-is-chatgpt/ChatGPT.jpg
https://images.ctfassets.net/lzny33ho1g45/34fPoGjEvhHQb52TCiiICn/1312b213f3718cbfe5c15cd40681efe2/ai-image-examples-for-business-image7_1.png?fit=thumb&fm=jpg&h=760&q=31&w=1520

現在のAIを象徴するのが、生成AIである。

  • 文章を生成する
  • 画像を生成する
  • 音楽やコードを生成する

大規模言語モデル(LLM)は、
意味を「理解」しているわけではない。

それでも、

  • 自然な文章
  • 文脈を保った応答
  • 実務で使える精度

を実現している。

これは人類史上初めての、

考えてはいないが、役に立つ知能

と言える存在である。


7. 現在のAIはどこまで到達したのか

現在のAIは以下の特徴を持つ。

  • 自己意識:存在しない
  • 意図や感情:持たない
  • 作業能力:人間を大きく補完する

AIは「人間に近づいた」のではなく、
人間とは異なる形で有能な知能になった。


まとめ

AIは進化したが、人間にはなっていない

AIの歴史を振り返ると、進歩の本質は一貫している。

  • ルールで作ろうとして失敗した
  • 経験で学ばせることで前進した
  • 計算力とデータで飛躍した

現在のAIは、知性の模倣装置として非常に洗練されている。

しかしそれは「心」や「理解」を持つ存在ではない。

これからの課題は、
AIを人間に近づけることではなく、
人間社会に安全かつ有効に組み込むことにある。

AIの進化は、技術の問題であると同時に、
人間側の使い方の問題でもある。

ここから先の未来は、
技術ではなく選択の歴史になるだろう。

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