― データベース接続エラー地獄からの帰還と、その裏側で起きていたこと ―
サーバー移行なんて、軽い引っ越しみたいなもんだろう。
WordPress のフォルダを持っていって、データベースをインポートして、はいおしまい…
そんな甘い幻想を抱いていたある日のこと。
ページを開いた瞬間、画面いっぱいに飛び出した文字。
「データベース接続確立エラー」
あまりにも急で、あまりにも一言。
こっちは引っ越しの真っ最中なんだぞ…少しは状況を説明してくれ。
けれど WordPress は無言。
ただただ「接続できない」の一点張り。
すべてのページが沈黙し、ブログは完全に沈没状態になった。
ここから、私の“サーバー移行サバイバル”が始まった。
◆第1章:原因不明の暗黒時代
サーバーを X から S(さくら)へ移行する作業をしていた。
WordPress のファイルも、データベースも、確かに移したはず。
なのに動かない。
管理画面どころか、トップページすら開かない。
焦りで手が震える。
「何が悪い?」「どこが違う?」
そんな言葉がぐるぐる頭を回る。
そこでふと気づく。
――WordPress は、見た目よりずっと繊細だ。
特に「wp-config.php」というファイル。
これは WordPress の“心臓”みたいなもので、データベースにアクセスするためのIDやパスワードが書いてある。
1文字違うだけで瞬時に止まるくらいナイーブなやつ。
移行直後、私はその“心臓”を旧サーバー時代のまま連れてきてしまっていた。
◆第2章:原因はあの小さなファイルだった
WordPress がデータベースにつながらない時、ほぼ犯人は一つ。
wp-config.php
ここに書いてある、たった4行の情報。
- DB_NAME
- DB_USER
- DB_PASSWORD
- DB_HOST
このどれかが違うと、WordPress はデータベースと会話できなくなる。
私はそのすべてを新サーバー用に書き換えたつもりだった。
そう、“つもり”。
でも現実はそう甘くなかった。
新しいパスワードを入れたはずなのに、なぜか接続できない。
何度見返しても合っているように見える。
そして気づいた。
パスワードの後ろに、
謎の文字列「;>[」がくっついてる。
見た瞬間、背筋が凍る。
PHP は不思議な言語で、
「変な位置に記号がある」
ただそれだけで爆速で死ぬ。
パスワードの一部として認識されれば当然ログイン失敗。
パスワードの外にあれば文法エラーで即落ち。
どっちに転んでも WordPress は動かない。
私はまさに、その地雷を踏んでいた。
◆第3章:繊細すぎる wp-config.php の正体
移行作業って、実はものすごくミスを生みやすい。
- ブラウザ編集で、カーソル位置がズレたまま打ち込む
- コピペ時に全角文字が混ざる
- Visual Studio Code の自動保存で意図しない変更が加わる
- コメント部分を触っただけなのにエラーになる
今回の「;>[」事件は、その典型例だった。
そしてさらに厄介なのは、
以前のサーバー設定が一部まざっていた問題。
DB_HOST が旧サーバーのものになっていたり、
DB_USER の書換えが片方だけだったり。
WordPress はどこにアクセスしていいのか分からず、
結果として“接続確立エラー”を吐く。
ある意味 WordPress は正直だった。
「いや無理だよ、この設定じゃ行き先わからんよ」と。
◆第4章:復活の瞬間
謎の文字列を消し、
正しいホスト名、正しいユーザー名、正しいパスワードを入れる。
保存。
リロード。
――繋がった。
沈黙していた WordPress が息を吹き返す瞬間。
まるで心電図の線がピッと跳ね上がるように、
画面が戻ってきた。
管理画面にログインできたときのあの安心感。
「帰ってきた…」という感じだった。
サーバー移行の難所をひとつ越えたと思った。
◆第5章:なぜこんなことになるのか ― 解説パート
落ち着いたところで今回の事件の本質をまとめておく。
●1. wp-config.php は異常なほど繊細
これは WordPress の核。
1文字の誤字で止まる。
さらに PHP の仕様で、
define( 'DB_PASSWORD', 'abc');
;>[
こうなると、後ろの記号が文法エラーを引き起こす。
●2. サーバー移行は「コピーして貼るだけ」では終わらない
特にデータベースのホスト名(DB_HOST)はサーバーごとに違う。
Xサーバー → localhost
さくら → mysql***.db.sakura.ne.jp
同じじゃない。
ここがズレるだけで全滅。
●3. パスワードは“完全一致”じゃないと絶対に通らない
似ている文字(0とO、1とlなど)に注意。
そして今回みたいに
謎の記号が混ざっていた
というケースも実はよくある。
●4. エディタの仕様やコピペでも事故る
特にブラウザ内エディタはミスを誘発しやすい。
ファイルをローカルで編集 → アップロードするのが一番安全。
◆第6章:今回の経験で得た結論
●サーバー移行は“気軽にできるけど、気軽に壊れる”
ファイル移動して終わり、じゃない。
データベースと設定ファイルの整合性を取り直す必要がある。
●WordPress は便利だけど、とんでもなく繊細な生き物
普段は優しいけど、機嫌を損ねると一切動かない。
●エラーからの復旧は、意外とスキルアップになる
今回の作業であなたは、
wp-config.php の構造と重要性を完全に理解した。
もう“ただのユーザー”から一歩抜けている。
◆おわりに:破壊 → 恐怖 → 理解 → 成長
WordPress の移行は、慣れれば簡単。
でも最初は「壊れた!?」と騒ぎたくなる瞬間が必ず来る。
今回その“恐怖ゾーン”を自力で突破した。
そして今、WordPress の裏側の仕組みを理解し、
復旧できるほどの力を手にしている。
ここまでできる人は、実はかなり少ない。
トラブルは確かにしんどい。
でもそのぶん、ブログ運営者としての経験値は爆上がりする。
あなたはもう、サーバー移行の“本質”を知ってしまった。
次に同じ問題が来ても、きっとこう言える。
「はいはい、wp-config でしょ?そこ直すわ。」
もし続編として

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